グッドデザイン賞受賞まで(審査に当たって工夫したポイントと費用!)
街を歩くと目にすることのあるグッドデザインのシンボルであるGマーク。
グッドデザイン賞のサイトを見ると、時代によって要求され、変化するデザインの価値を世の中に啓発していくという目的が見て取れます。
今までこのような賞に関心もなく、どのようにして出すかも分からぬ弊社ではありましたが、それぞれの案件に全力で臨み成果を出して来たと自負している部分を、社会的にも認めてもらえれば!と一念発起し、試行錯誤して審査に臨みました。今年度は4,789件の応募に対して1,358件の受賞ということで、全体の3割弱が受賞した結果になります。
ではこの賞をどのように我々が捉え、戦略を練り、受賞まで至ったかについて記述してみたいと思います。
目次
はじめに
グッドデザイン賞にエントリーする前に、まずどのような審査基準で審査されているのかを見る必要があります。
2018年度のwebサイトを見てみましょう。

出典:グッドデザイン賞とは | GOOD DESIGN AWARD
このように、社会性や新しい可能性、文化といった言葉が並んでいることから、単純なデザインの綺麗さや美しさだけではなく、社会課題へのアプローチや新しいプロダクト、UI/UXへの挑戦といったトーンが加味されてるのではないか?と判断しました。
エントリー
グッドデザイン賞のwebサイトから、エントリーという項目を押すと、まずデザインを提出する、主体となる企業を登録することから始まります。
特にデザイン会社はここで注意したいのが、自社プロダクトでない場合、プロダクトを保有する事業会社の応募許可書類が必要になって来ます。
勝手に出して、勝手に受賞することはできないようです。
一度登録すると、マイページが発行され、毎年度ごとに新しい応募を追加していくことが管理画面上でできるようになります。
一次審査
一次審査は簡単にいうと書類審査のようなものです。具体的な突破率はわかりませんが、しっかりとコンセプトや動画などの制作物があれば通るのではないかと主観的に感じました。
書くべき項目は大きなジャンルに分けると以下の通り
- プロダクトや会社の基礎情報
- デザイナー情報(プロデューサーやディレクター、デザイナーの登録)
- 公開用画像(デザインカンプや物撮り等)
- 審査用動画/URL
- デザイナーやプロデューサーが考えるコンセプトや意匠
- 競合との差異や、UIなどの優位点など補足情報
意外に入力できる情報が少ないですね。
私たちはこの中で重要視したのが公開用画像とデザイナーの意匠とコンセプトデザインおよび社会にとってどんなインパクトがあるのかという点です。
前述の通り、デザインのみでなくこのプロダクトのストーリーと社会的な価値のようなものが説明できることが何より重要だと判断しました。
特にコンセプトにおけるステートメントは非常に丁寧に書いた記憶があります。
一点審査用動画だけ提出するか悩みました(クオリティに納得がいっていなかったので)。
ただ審査項目に穴を開けたくないので提出する決断をしています。(ちなみに審査料は¥10,800です。)
二次審査
二次審査は幕張メッセでの合同審査です。3日に渡って行われる審査は、各プロダクトのジャンル(ユニットと呼ばれている)に分かれて
上記スペックの簡易ブース(弊社は2ブース購入)を用意して行われます。
搬入
搬入は、合同審査の前日に、決められた時間内で実施をします。事前に配布されたネームタグを持参しないと会場に入場することができないので注意が必要です(ごにょごにょ言ってもダメそうな厳格さをひしひしと感じました)
現場の係員の方の指示に従い、指定のブースまで向かい、粛々と準備を進めました。私達はお昼過ぎに現場に到着したのですが、その時点で、8割くらいは他のブースは完成しほぼ人がおりませんでした。
駐車場で行列することなどを避けるために、あえて午後から搬入するというのも一つの案かも知れません。
また、設営業者に依頼されている会社がたくさんあったのも印象的でした。幕張への移動コストを鑑みると、弊社も、今回流れを掴むことができたので、次回以降は外注も検討したいと思います。
1日目
1日目、3日目は、出展企業は、現地に行くことができません。
今頃ブースを見られているのだな、とそわそわしながら待つのみしかありません。
2日目
2日目は対面審査です。ブース毎に事前に指定された時間に会場に伺います。
各ブースを回る審査員の方々に対し、説明できる時間は、わずか3分間。
まず、1分間こちらからone wayで説明をし、残り時間で審査員の方々の質問を受けます。
いざやってみると、想像以上に時間がないため、1分間で魅力的にプレゼンできる準備、想定されうる質問に対して、一言で明快に答えを返す準備をすることをお勧めいたします。
3日目
前述のとおり、3日目も、出展企業は、現地に行くことができません。
「前日の対面審査はあれでよかったのか?もっといい答え方はあったのでは?」などの考えが頭の中を巡りますが、やはり待つしかありません。
(審査料は基本¥57,240で電源やブースの数などによってオプションの支払いがあります。弊社は合計で¥ 105,480でした。)
ベスト100とその後
二次審査の突破と同時に、応募対象に問題がないと判断されれば晴れて受賞となります。
受賞者にはAWARD WINNER’S KITと呼ばれる、神々しい郵送物が送られて来ます。
中身は
- 受賞のお知らせ
- 受賞式典や受賞展示の案内および入場券等
- 新聞社等の広告チラシ
が入っています。
受賞後は上記の受賞式典や受賞展示会への出展が待っておりますが、この記事を各時点では未参加になるので、今回は記述を割愛させていただきます。
受賞対象の中から、さらに評価の高かったBest100や大賞などが同時に選出されているようです。
また公式な発表と同時に、Gマークの年間使用料を支払うことで、ロゴを使用することができるようになります。
(ちなみに受賞展示費用は¥ 167,100で、中小企業の弊社はロゴ使用に¥ 108,000でした。)
最後に
巷では賛否両論となっているグッドデザイン賞ですが、まだ影響を計測できていない時点ですが、このようなメリットがあると実感しています。
- 誰もがなんとなく良い賞だとわかってくれる。(両親が初めて弊社の事業を理解しました。)
- 少々流入が増えている。
- うちのデザインいいですよ!という曖昧な提案に説得力が増す。
受賞して1週間経ってないですが、このような結果は現在でも出ています。
コストを含めて応募するかは悩まれると思いますが、私は出しても損はない結果に導くのは自分達だと考えています。
そのため、会社のブランディング戦略に必要だと少しでも思うならば、応募してみるのをお勧めします。